JSM Travel Award
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「SETD7 is a novel therapeutic target for multiple myeloma carrying t(11;14)(75/200).」
自治医科大学 松岡 紗恵 先生
第22回国際骨髄腫学会(IMW)参加報告書
自治医科大学 分子病態治療研究センター 領域融合治療研究部
松岡紗恵
この度は、上記の賞を拝受し、2025年9月17~20日にカナダ トロントにて開催された第22回国際骨髄腫学会(IMW)に参加させていただくことができました。
日本骨髄腫学会のご厚意のおかげで2年連続の参加となりましたが、南米の太陽が燦然と降り注ぐ前年のリオデジャネイロとは打って変わり、今回は初秋の北米の涼しく過ごしやすい空気が非常に新鮮でした。
今年も朝から晩まで絶え間なく発表される数多くの演題・講演から最新の海外の治験・臨床試験・医療事情の動向をつかむことができたと思います。
内容としては、CAR-T療法やBispecific antibody(BsAb)などのT cell engagerの使い分けや耐性メカニズムの解明、最適化についての話題が圧倒的に多く、その症例数や普及率・関心の高さから、海外諸国がCAR-Tに続いてBsAbも外来で施行可能な治療となることを目指していることを改めて実感しました。
元々CAR-Tよりもoff-the shelfの治療選択肢としての立ち位置を期待されてきたBsAbですが、保険制度の違いからCAR-Tの普及もまだ後れをとっている本邦としては、独自の対策を早期から講じておく必要があると思いました。
また、smoldering症例に対する治療介入の見解や、新たな維持療法の臨床試験など、意識しておくことで明日からの臨床に役立つ話題も沢山拝聴することができました。
自身の発表としては、気さくにブースに立ち寄ってくださった各国の参加者と活発な議論を交わす中で数々の示唆に富むsuggestionをいただき、論文acceptに向けての課題をクリアに認識することができました。
3日の夜のreceptionはCasa Lomaという中世の古城のようなトロントの名所で行われ、昨年知り合った同年代の研究者たちとも再会し、近況を報告し合って親交を温めました。
今回も非常に充実した学会であり、今後の研究・臨床への英気を養うことができました。
最後になりますが、このような貴重な経験をさせていただいた、日本骨髄腫学会理事会・事務局の皆様、日頃よりご指導賜っている仲宗根秀樹教授・古川雄祐先生・安井寛先生・菊池次郎先生をはじめ共同研究者の先生方、関係者の方々に心より感謝申し上げます。


