学会概要
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飯田 真介
名古屋市立大学医薬学総合研究院 生体総合医療学講座
血液・腫瘍内科学分野 教授
令和6年5月31日、日本骨髄腫学会理事長を拝命致しました。前身である骨髄腫研究会が1976年に発足してから48年が経過し、本学会は、骨髄腫及びその類縁疾患の診療や研究に興味を抱く学会員を横につなぎ、障壁なく語り合える活発な学術団体となりました。パラメディカルスタッフを含むチーム医療の推進、患者団体との連携や規制当局との調整など社会的にも重要な役割を担う組織になっています。
20世紀末〜21世紀は骨髄腫診療の革命の時代です。分子病態や骨髄微小環境の病態解明の進歩と相まって、プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、単クローン性抗体薬が標準治療薬となり、さらにCAR-T療法やT-cell engagerなど免疫療法の導入によって、骨髄腫患者さんの生命予後は驚くほど改善しています。治療の進歩は日進月歩ですが、それに伴って副作用の低減など生活の質(quality of life)の改善にも焦点を当てる時代になりました。
学術総会では基礎研究者と臨床医がともに議論し、International Myeloma Society (IMS)やKorean Multiple Myeloma Working Partyなどアジアの研究グループとの国際シンポジウムを開催し、海外研究者との連携や国際化を図っています。コロナ禍を経てウェブを介して、世界との距離が近くなりました。そのような状況に対応すべく、次世代の若手研究者に海外研究者と語り合う機会を提供していきたいと思います。学術総会以外の事業としては、「多発性骨髄腫の診療指針」の定期的な発刊とアップデート、医師と医療スタッフを対象とした教育セミナーや教育講演の開催による骨髄腫診療の均てん化、会員への最新の情報提供などがあります。日本血液学会などの関連学会とも協調し役割分担しながら、骨髄腫及び関連疾患の克服と患者支援に向けた活動を展開していきます。
私自身は微力でありますが、同じ使命を持つ学会副理事長や理事の皆様とともに、日本骨髄腫学会の発展のために尽力する所存です。学会員の皆様からの斬新なアイデアもお待ちしております。今後もご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。